素顔出したいけど、周りの圧に勝てない「脱マスク」に葛藤　高校ダンス部が仮面世界の苦しさ表現

2023/02/05 10:55

★2023年2月5日 10:36
素顔出したいけど、周りの圧に勝てない「脱マスク」に葛藤　高校ダンス部が仮面世界の苦しさ表現 | マスクの下こころとからだ子どもたちの今 | 沖縄タイムス

［マスクの下こころとからだ子どもたちの今］
　仮面を着けて周りに合わせるのが常識。そんな「仮面世界」を沖縄県立首里高校のダンス部が１月２８日、２０２２年度沖縄県学校ダンスフェスティバルの創作部門で表現した。「素顔を出したいけど、周りの圧に勝てない。『外していいですよ』ではなく『外してください』ときっぱり言ってもらわないと、きっと無理」（松原球美（くみ）部長）。部活中に着け続けたマスクを仮面に重ねた。（中部報道部・平島夏実）
関連記事
約半数は部活に入らず…沖縄の中学生｢部活離れ｣が加速　加入率63.9％→53.3％に減った理由 | マスクの下こころとからだ子どもたちの今 | 沖縄タイムス
　ダンスは４分１３秒。仮面を着け忘れた１人が慌てる場面から始まる。気付いた周囲は、覆いかぶさって責め立てる。
　比嘉千愛里（ちあり）さんら４人は仮面を外そうと、もがく役だ。「素顔の世界」を追うが、仮面集団が隊列を組んで迫ってくる。久石譲さんの悲しげなピアノ曲が響く。
　部員２６人のうち、２年生はコロナ禍の休校を経験した。学籍番号の奇数組と偶数組に分かれて分散登校が始まっても、全体練習ができなかった。「奇数のみんなへ」「偶数のみんなへ」と互いに動画を送り「この汗、見て」と励まし合った。
　大会の作品「仮面世界」は、あえて悲しい結末に仕上げた。もがいた主人公４人は集団の同調圧力に負ける。集団は、一斉に仮面を外せたらいいのにという願望を捨て去る。松原さんは「現実はそう簡単にはいかないから。観客一人一人に心当たりがないか考えてほしかった」と振り返る。
　大型連休明けの５月８日、マスクを着けるかどうかは屋内外を問わず個人の判断に変わる。マスクを外そうと考えているのは、ダンス部では今のところ２人しかいない。大城芹奈さんは「やっぱり周りを見ちゃうと思う」と話す。「仮面世界」は続く。

★2022年4月22日　沖縄タイムス　論壇